新潮社の石井光太さんの著書 遺体 震災、津波の果てに を読みました。
著者:石井光太
刊行:2014/03/01
新潮社サイト内紹介ページ
https://www.shinchosha.co.jp/book/132534/
津波の被害が深刻な釜石で歯科医や引退した葬儀屋や消防団員や住職など自らも被災した地元の人達が大勢の遺体の扱いという難問に向き合う姿を描いています。彼らも被災者である以上様々な悩みの種がつきまとい時に投げ出しそうになることもありますが、そこで踏みとどまり残された人々と亡くなった人々両方のために行動し続けていた当時の複雑な心境が被災地の状況の変化と共に記されています。
中心となるのが元葬儀屋の千葉さんです。遺体と遺族の両方に語りかけその尊厳と心を守ろうと身を粉にして働いています。
当時のニュースで少し話題になった通り宮城県では火葬が追いつかないため遺体を土葬するということになりましたが釜石では様々な方々の努力が実り土葬が行われずにすみました。終盤ではそこまでこぎつけた大勢の方々の必死の動向が記されています。
遺体を前に号泣する遺族や損傷のひどい遺体相手に言葉をかけ技術を尽くし行政や伝手をたどって働いてその心と尊厳を守る。すばらしいことです。何もできなかった遠方の小市民としては感謝の念が絶えません。
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