アフリカ難民の実態や難民が生まれ行く情勢に興味のある人へ薦める一冊です。
難民を翻弄する要因が幾重にも彼らに絡み付いていることを著者が見てきたアフリカを中心に教示しています。難民の出奔国や避難国や拠出国の政府、著者が所属していたUNHCRから各種NGO、そして民族に至るまで多くの集団が利害で動くえげつなさを遠慮なく紹介しています。
主な題材としてルワンダとコンゴが頻繁に挙がり単純には動かせない情勢があることを細かに教えてくれます。予備知識がないと情報が多すぎて消化に時間がかかりますが。
作中ではキャンプを作るだけでは解決しないその倦んだ流れも解説しています。何もせずにプライドを傷つけられる大黒柱、数少ない働き口における植民地の奴隷と変わらない扱い、それらがテロを生む流れ。それらを打破するために真っ当な自活への道を開くことが重要だと繰り返し主張しています。ただ、そう繰り返すばかりでより具体的で現実的な手段はなかなかでてきません。難民問題ではより確実に難民を救う手段として国際情勢的に現実的ではない手段がよく挙げられます。それらと同じく絵に描いた餅だと言われるのが嫌だったんでしょうか。
全般の問題として読みづらさがあります。世界のいろんなことに関する情報が多くこと細かに解説されていないというのもありますが、書き間違いや言い回しがきれいでないことが多いのです。
ざっと目に付いたものを挙げるだけでも
- 11P3行目からのはすみとしこ氏の"そうだ難民しよう!"の引用の結びがおかしい
- 54P13行目の難民受け入れ態勢に関する記述がおかしい
- 56Pでは後に自ら難民の正確な把握は難しいとまで言っているのにUNHCRによる難民数の発表と10%も違わない発表をひどい誤りだったとして切っている
- 97Pでは交通に関わる前提不明の謎の論理展開がなされている
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